糖尿病とは?原因・症状・治療方法について
糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる疾患です。通常は膵臓から分泌されるインスリンという物質で血糖のコントロールがされるのですが、糖尿病ではインスリンの分泌不足やインスリンへの反応が悪くなることにより血糖値が上昇しやすくなります。糖尿病を放置すると、心臓病、脳卒中、腎臓病、視力障害・失明、神経障害などの重篤な合併症を引き起こすため、早期の診断と専門医による治療が必要です。
糖尿病のタイプ
- 1型糖尿病:若年層に多く、自己免疫反応によって膵臓のインスリン分泌能力が著しく低下し、その結果血糖値が上がります。通常治療にはインスリンの自己注射が行われます。
- 2型糖尿病:最も一般的なタイプで、中年以降の成人に多くみられます。遺伝的要因や肥満、運動不足、食生活の影響でインスリン抵抗性が高まることが原因です。薬物療法に加えて、減量指導や栄養指導、運動などのライフスタイルの改善が治療に含まれます。
- 妊娠糖尿病:妊娠中に発症する糖尿病で、出産後に改善することが多いですが、将来的に2型糖尿病のリスクを高めます。
糖尿病の症状と診断方法
糖尿病の典型的な症状は、頻尿、喉の渇き、体重減少、疲労感、視力低下などですが、初期段階では無症状のことも多いです。そのため、健康診断や人間ドックによる定期的な検査が重要です。診断に用いられる検査として以下の方法があります。
- 空腹時血糖値:126 mg/dL以上で糖尿病と診断されます。
- HbA1c:過去2~3ヶ月間の平均血糖値を反映し、6.5%以上で糖尿病とされます。
- 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):糖を摂取し、時間ごとの血糖値の変動を確認します。
糖尿病の合併症と予防
糖尿病が未治療のまま進行すると、以下の合併症が発生するリスクが高まります。
- 心臓血管病:全身血管の動脈硬化が進行し、心筋梗塞や下肢動脈の閉塞などにつながります。高血圧・脂質異常症・喫煙などのリスクが重複していると、高確率でこのような重篤な合併症につながります。
- 網膜症:視力障害や失明のリスク。
- 腎症:腎機能低下から進行すれば血液透析が必要になることがあります。
- 神経障害:末梢神経の損傷による難治性の手足のしびれや痛み。
予防策としては、健康的な食事、定期的な運動、薬物療法を通じた、血糖値のコントロールが重要です。
糖尿病の治療法
治療は患者の状態に応じて異なりますが、一般的には次のアプローチが取られます。
- 食事療法:血糖値の管理を目的とした低糖質・低カロリーの食事。
- 運動療法:体重管理とインスリン感受性の向上を目指す運動プログラム。
- 薬物療法:経口薬(メトホルミン、DPP-4阻害薬、SGLT-2阻害薬など)や自己注射薬(GLP-1受容体作動薬、インスリン注射)などが使用されます。