⑩ 無理なく続けられる運動メニュー
糖尿病治療において、運動療法は食事療法・薬物療法と並ぶ重要な柱の一つです。運動は血糖値の改善に直接的な効果をもたらすだけでなく、インスリンの効きを良くし、心肺機能や筋力を向上させるなど、全身の健康維持に欠かせません。「運動が大切なのは分かっているけど、続かない」「年齢や体力的に不安がある」という方に向けて、この記事では無理なく続けられる運動メニューと実践のコツをご紹介します。
【なぜ運動が血糖値に効くのか?】
- 筋肉は血糖を消費する最大の器官です。運動により筋肉がブドウ糖を取り込み、血糖値が自然に下がります。
- インスリン抵抗性の改善:継続的な運動により、インスリンの感受性が高まり、同じインスリン量でより多くの糖を処理できるようになります。
- 脂肪燃焼と体重減少:運動により体脂肪が減り、肥満に起因する糖代謝異常の改善につながります。
- ストレス解消や睡眠の質向上も、ホルモンバランスを整え、血糖安定に寄与します。
【糖尿病患者におすすめの運動の種類】
- 有酸素運動(週150分以上を目標に)
・ウォーキング(1日30分程度)軽く息が弾む程度の強さ
・サイクリング
・水中ウォーキングや水泳(関節にやさしく、高齢者にも最適)
・軽いジョギング(医師と相談の上で) - レジスタンス運動(筋トレ/週2〜3回)
・スクワット、かかと上げ、椅子立ち上がり運動など、自重でできる簡単なトレーニング
・セラバンド(ゴムチューブ)や軽いダンベルを使った筋力維持運動
→筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、血糖コントロールの安定に貢献 - 柔軟運動・ストレッチ
・就寝前や運動後のリラクゼーションに
・筋肉の可動域を保ち、ケガの予防にも効果的
【運動のタイミングと注意点】
- 食後30分〜1時間後のウォーキングが最も効果的
- 空腹時の激しい運動は低血糖のリスクがあるため避ける
- 体調がすぐれない日(発熱、脱水など)は無理をしない
- インスリン注射使用している場合など低血糖リスクが高い場合は、運動前後の血糖を確認
- こまめな水分補給を心がける
【続けるためのコツ】
- 毎日でなくても「週3日以上」など嫌になったり飽きがこないように習慣づけていきましょう
- 「時間がない日は5分だけ」でも継続が力になる
- 運動の内容を記録し、変化を可視化することでモチベーション維持
- 家族やパートナーと一緒に運動すると継続率UP
- 自分に合った時間帯・メニューを見つける(朝の散歩/夜のストレッチなど)
糖尿病における運動は、「一時的な改善」ではなく「長期的な血糖管理の鍵」となります。大切なのは、無理なく、楽しく、継続できる運動習慣を築くことです。