医師が解説!症状・治療ガイド

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【糖尿病代謝内科】

⑨ 糖尿病の食事療法 – 具体的な1日の献立例

糖尿病治療の基本は「食事療法」にあります。血糖値を安定させ、合併症を防ぐためには、毎日の食事の内容と摂り方が極めて重要です。しかし、「何をどれくらい食べればよいのか分からない」「食事療法は我慢ばかりで続けられない」といった声もよく聞かれます。本記事では、糖尿病の食事療法の考え方とともに、実際に役立つ1日の献立例を詳しくご紹介します。

【糖尿病食の基本ルール】

糖尿病食のポイントは「栄養バランス」と「適正カロリー」です。以下の3点が特に重要です。

  • 主食・主菜・副菜のバランスをとる
  • 炭水化物の摂取量を適切に管理
  • 食物繊維をしっかりとることで血糖上昇を抑える

【適正カロリーの目安】

1日のエネルギー摂取量は、「標準体重 × 係数(25〜30kcal)」が目安です。
・標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22
係数は身体活動量のことで、日常生活での労作や現在の肥満度安堵を加味して設定します。
例:身長165cmの場合 → 1.65×1.65×22 ≒ 60kg → 60kg×30kcal=1800kcal/日

【具体的な1日の献立例(1800kcalの場合)】

  • 朝食(約400〜450kcal)
    ・ごはん(玄米)150g
    ・納豆1パック
    ・焼き鮭(小)1切れ
    ・小松菜のおひたし
    ・味噌汁(わかめ・豆腐)
    → 炭水化物とたんぱく質をバランス良く。野菜と汁物で満腹感を高める。
  • 昼食(約600kcal)
    ・そば(乾麺80g)+きのこ類たっぷりの温かい汁
    ・鶏むね肉と野菜の蒸し物(ノンオイルドレッシング)
    ・トマトとブロッコリーのサラダ
    → 外食時は和定食スタイルを意識し、丼ものや揚げ物は避ける。ご飯は小盛り〜普通盛りとし、大盛りは避けましょう。
  • 夕食(約600kcal)
    ・ごはん100g
    ・白身魚のムニエル(レモン風味)
    ・切り干し大根の煮物
    ・青菜の胡麻和え
    ・具沢山の味噌汁(豆腐・野菜)
    → 夜はごはんの量を抑え、食物繊維で満足感を。
  • 間食(約150kcal以内)
    ・無糖ヨーグルト+きなこ
    ・ナッツ類(素焼きアーモンドなど少量)
    ・寒天ゼリーや果物(りんご1/4個など)
    → 血糖値を急激に上げない低GI食品を選ぶ。人工甘味料など血糖を上げない甘味の活用

【避けたい食習慣】

  • 高脂質・高糖質(カツ丼、ラーメン、菓子パンなど)
  • 清涼飲料水(ジュース、加糖コーヒーなど):微糖商品にも意外と糖質は多く含まれているので、コーヒーは無糖を選びましょう。
  • アルコールの過剰摂取(血糖値の乱高下の原因)
  • 「まとめ食い」や「夜遅い時間の食事」

糖尿病の食事療法は、「制限」ではなく「選択」の積み重ねです。正しい知識を身につけ、自分に合った食事スタイルを確立することで、血糖コントロールは飛躍的に向上します。当院では、継続できる現実的な食事指導を通じて、患者様の健康と生活の質をサポートしています。

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