⑧ メタボリックシンドロームの診断基準と改善法
「最近お腹まわりが気になる」「健康診断でメタボと言われたけれど、どうすれば…」と感じている方は多いのではないでしょうか。メタボリックシンドローム(通称:メタボ)は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病が複合的に絡み合った状態であり、将来的に動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気のリスクを高めます。本記事では、メタボの診断基準、放置することのリスク、そして改善のためにできる具体的な行動について詳しく解説します。
【メタボリックシンドロームとは?】
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を中心に、複数の代謝異常が重なった状態を指します。肥満というだけではなく、内臓脂肪型肥満(お腹の中に脂肪がたまるタイプ)が特に問題視されます。
【診断基準(日本内科学会基準)】
以下すべてを満たした場合、メタボリックシンドロームと診断されます:
- 腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪型肥満)
かつ、以下のうち2項目以上に該当:
- 血圧:収縮期血圧130mmHg以上 または 拡張期血圧85mmHg以上
- 血糖:空腹時血糖110mg/dL以上
- 脂質:中性脂肪150mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満
【放置するとどうなる?】
メタボを放置すると、以下のような疾患リスクが高まります:
- 2型糖尿病:インスリン抵抗性の進行により発症リスクが上昇
- 高血圧:血管への負担が増し、動脈硬化が加速
- 脂質異常症:中性脂肪の増加とHDLコレステロールの低下
- 動脈硬化:血管の老化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因に
【今日からできる改善法】
- 食事の見直し:
・主食の量を適正化し、野菜中心の食事を心がける
・揚げ物・脂質の多い肉類は控えめに
・アルコールや間食の習慣を見直す(糖質・カロリーに注意) - 運動の習慣化:
・1日30分のウォーキングを週5回以上を目標に
・無理なく続けられる有酸素運動と筋トレの組み合わせが効果的 - 体重管理:
・BMI25未満、腹囲85cm未満(男性)・90cm未満(女性)を目標に
・月1〜2kgの減量を目安にすると安全で継続しやすい - ストレスと睡眠の質向上:
・過食や運動不足の原因となるストレスのコントロール
・睡眠不足はホルモンバランスを崩し、肥満を助長します - 定期的な健康チェック:
・年に1回の健康診断に加え、血糖・脂質・血圧・体組成の測定を推奨
メタボリックシンドロームは「まだ病気ではない」と思われがちですが、確実に身体にダメージを与え続けています。しかし、早期に気づき、生活を少しずつ改善することで、未来の疾病リスクを大きく下げることができます。当院では、一人ひとりの生活背景に寄り添った現実的な改善策を一緒に考え、無理なく実践できるサポートを行っています。