医師が解説!症状・治療ガイド

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【糖尿病代謝内科】

⑥ 血糖値を下げるためにできる生活習慣5つの工夫

糖尿病の予防や治療において、「血糖値を安定させる」ことは非常に重要なテーマです。多くの方が「薬を使わずに血糖値を下げたい」と考えますが、実は毎日の生活習慣を見直すことで、血糖値は大きく変わることがわかっています。今回は、誰でもすぐに始められる「血糖値を下げる5つの生活習慣の工夫」をご紹介します。どれも難しいものではありませんが、継続が何よりのカギとなります。

【1. 食べる順番を意識する】

「ベジファースト(野菜から食べる)」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。食物繊維を含む野菜を先に食べることで、糖の吸収がゆるやかになり、食後の血糖値上昇を抑えることができます。

  • 最初に:野菜(食物繊維)や海藻類、きのこ類、こんにゃくなど
  • 次に:たんぱく質(魚、肉、大豆製品、卵)
  • 最後に:炭水化物(ごはん、パン、麺類、芋類)
  • この順番で食事をとるだけで、食後高血糖のリスクが下がるとされています。

【2. 1日1回は軽い運動を習慣化】

血糖値は筋肉で多く消費されるため、運動によって血糖を下げる効果が期待できます。特に有酸素運動とレジスタンス運動(筋トレ)の組み合わせが有効です。

  • おすすめは「食後30分以内のウォーキング10〜15分」
  • エレベーターを使わず階段を使う、通勤時に一駅歩くなど、日常生活に取り入れる
  • 筋トレは週2〜3回、スクワットやかかと上げなど簡単な動きから始める

【3. 睡眠とストレスの質を見直す】

睡眠不足や慢性的なストレスは、血糖を上昇させるホルモン(コルチゾールなど)を増加させ、血糖値の安定を妨げます。

  • 毎日6〜7時間以上の睡眠を確保する
  • 就寝前のスマホやテレビは控え、リラックスできる環境を整える
  • 呼吸法やストレッチ、趣味の時間などを活用し、ストレスを溜め込まない

【4. GI値を意識した食品選び】

GI(グリセミック・インデックス)値とは、食後の血糖上昇の速さを示す指標です。低GIの食品を選ぶことで、急激な血糖上昇を防ぎ、体にも負担をかけません。

【5. 定期的な自己チェックと記録】

自分の血糖値を「見える化」することで、生活習慣の改善効果が明確になります。

  • 糖尿病患者さんでは自己血糖測定器や連続血糖モニタリング(CGM)を活用
  • 食事・運動・体重・睡眠などを手帳やアプリで記録する習慣をつける
  • 記録を医師や管理栄養士と共有し、的確なフィードバックを受ける

血糖値を下げる生活習慣は、「特別なこと」ではなく、日々の積み重ねが何より大切です。難しいことは続きませんが、「小さな変化を継続すること」が、結果として最も効果的です。当院では、患者様のライフスタイルに合わせた現実的な改善策をご提案しています。

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