④食後高血糖に注意 – 予防と対策のポイント
「健康診断では異常なし」と言われても、食後の血糖値だけが急上昇する「食後高血糖」になっている可能性もあります。食後高血糖は、自覚症状が乏しいために見過ごされやすいものの、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患の発症と強く関連することが明らかになっており、糖尿病の「前段階」とも言われています。本記事では、食後高血糖のリスクと、今日からできる予防・対策について詳しく解説します。
【食後高血糖とは?】
食後高血糖とは、食事のあと1~2時間の間に血糖値が急激に上昇する状態を指します。空腹時血糖値やHbA1cが正常であっても、食後の血糖値が160mg/dL以上になることがあり、これは血管内皮に大きなダメージを与える要因です。特に日本人はインスリン分泌力が欧米人に比べて弱いため、食後高血糖を起こしやすい体質であることが知られています。
【なぜ食後高血糖が問題なのか?】
- 動脈硬化の進行:高血糖状態が繰り返されると血管の内皮細胞が傷つき、動脈硬化の原因になります。
- 酸化ストレスの上昇:急激な血糖変動は体に酸化ストレスを与え、細胞老化や炎症反応を引き起こします。
- 認知症リスクの上昇:近年の研究では、食後高血糖が認知機能低下にも関連していることが示唆されています。
- 糖尿病への進行:食後高血糖が続くと、膵臓に負担がかかり、やがてインスリン分泌の低下を招いて糖尿病へ移行するリスクが高まります。
【チェックしてみましょう:あなたは大丈夫?】
- 食後に眠気やだるさを感じることが多い
- 間食や甘い飲み物をよく摂る
- 野菜よりも主食を先に食べている
- 運動習慣があまりない
- 家族に糖尿病の人がいる(遺伝的素因)
これらの項目に複数当てはまる方は、食後高血糖のリスクが高いといえます。
【予防と対策のポイント】
- 食べる順番に気をつける
最初に野菜(食物繊維)、次にたんぱく質(肉・魚・豆)、最後に炭水化物(米・パン・麺・芋類など)の順で食べることで、血糖上昇を緩やかにすることができます。 低GI食品を選ぶ
GI(グリセミック・インデックス)値とは、食後の血糖上昇の速さを示す指標です。
・低GI食品:玄米、全粒粉パン、蕎麦、大豆製品、葉物野菜など
・高GI食品:白米、食パン、うどん、じゃがいも、砂糖など
低GIの食品を選ぶことで、急激な血糖上昇を防ぎ、体にも負担をかけません。例えば、白米よりも玄米、食パンよりも全粒粉パンを選ぶなど、GI値の低い食品を取り入れる工夫が有効です。- 間食・ジュースを控える
甘いお菓子や清涼飲料水は、急激な血糖上昇を引き起こすため、控えることが望ましいです。 - 軽い運動を取り入れる
食後30分以内に軽いウォーキングやストレッチを行うことで、血糖の急上昇を抑える効果があります。 - 朝食を抜かない
空腹時間が長いと昼食後の血糖上昇が大きくなります。朝食をきちんと摂ることで血糖変動を緩やかに保てます。
食後高血糖は、糖尿病の前段階であるだけでなく、心血管疾患や認知症など多くの疾患と関連する重大な健康リスクです。健康診断が正常でも安心せず、日常の体調変化や食習慣を見直すことが大切です。