③ 糖尿病の初期症状セルフチェック
糖尿病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに進行してしまう「サイレントキラー」とも呼ばれています。しかし、病気が進むと少しずつ体に変化が現れ、これを見逃さずに早期発見・早期治療につなげることが健康維持のためには極めて重要です。本記事では、糖尿病の初期症状を自分でチェックできるポイントを解説し、当院での診療の流れや生活習慣改善のアドバイスについてもご紹介します。
【糖尿病の初期症状チェックリスト】
以下のような症状がある場合は、糖尿病の可能性が考えられます。
- 喉が渇きやすい、よく水を飲むようになった
- 尿の回数が増えた、夜間もトイレに起きる
- 体重が急に減った(特にダイエットをしていないのに)
- 疲れやすい、だるさが続く
- 傷が治りにくい、感染症にかかりやすい
- 手足のしびれや違和感
- 視界がぼやける、目がかすむ
- 食後に強い眠気がある
これらの症状が複数当てはまる場合、血糖値が高い状態が続いている可能性があります。特に「喉の渇き」「頻尿」「体重減少」の3つは、典型的な糖尿病のサインとされています。
【症状の背景にある体の変化】
糖尿病では、インスリンの作用不足により血液中のブドウ糖がうまくエネルギーとして使われず、血糖値が高い状態が続きます。これにより、余分な糖が尿として排出され(尿糖)、水分を多く引き込むために尿量が増えます。水分の喪失により喉の渇きが強まり、体は脱水状態になりがちです。また、糖がエネルギーとして利用できないために筋肉が分解され、体重が減少します。これらの変化はすぐには気づきにくいものの、放置すると合併症のリスクが高まるため、早めの受診が大切です。
【当院での診療の流れ】
- 問診と症状確認:どのような症状があるか、いつから続いているか、体重や生活習慣の変化も含め詳しくヒアリングします。
- 血液検査・尿検査:血糖値、HbA1c、尿糖、尿蛋白、腎機能などを総合的に評価します。
- 追加検査(必要に応じて):糖負荷試験、インスリン分泌能検査、合併症チェック(網膜症、神経障害、腎症)も行います。 その他血糖が上昇する可能性のある疾患の除外目的にホルモン検査やCTなど画像検査を行うこともあります。
- 診断結果の説明と治療提案:必要な場合は食事・運動療法の提案、薬物治療の開始を行います。
【生活習慣でできる予防と対策】
- 食事の見直し:炭水化物の摂りすぎを避け、野菜やたんぱく質をしっかり摂取。
- 適度な運動:ウォーキングやストレッチを習慣に。
- 睡眠とストレス管理:睡眠時間を確保し、過度なストレスを避ける生活リズムを意識。
- 定期的な健康診断:年1回は血糖値・HbA1cの測定を。
糖尿病の初期症状は日常の些細な変化の中に潜んでいます。「年齢のせい」「忙しさのせい」と見過ごさず、小さなサインを見逃さないことが健康管理の第一歩です。当院では、糖尿病の予防から治療まで、患者様一人ひとりに合わせたサポートを行っています。