② HbA1cとは?健康診断で高値が出たらどうする?
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、糖尿病の診断や血糖コントロールの指標として非常に重要な検査値です。健康診断でHbA1cの値が高いと指摘された際、「自分は糖尿病なのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、HbA1cの数値が高いからといって必ずしも糖尿病が確定するわけではなく、その背景には食事、生活習慣、一時的な体調不良、隠れた病気など、さまざまな要因が隠れている可能性があります。本記事では、HbA1cの基本知識から、健康診断で高値が出た場合の対処法、当院での診療の流れ、生活習慣でできる改善ポイントまで、詳しく解説します。
【HbA1cとは?】
HbA1cは、赤血球中のヘモグロビンと血中のブドウ糖が結合した「糖化ヘモグロビン」の割合を示す指標で、過去1〜2か月間の平均血糖値を反映します。赤血球の寿命(約120日)を利用した検査であり、食事の直後や一時的な血糖変動に左右されにくいことが特徴です。そのため、日々の血糖値を測る「血糖値」と並び、糖尿病管理の基礎データとして広く用いられています。
【HbA1cの基準値と診断基準】
日本糖尿病学会の基準によると、HbA1cの目安は以下の通りです。
- 正常値:4.6~5.6%
- 境界域(糖尿病予備群の可能性):5.7~6.4%
- 糖尿病型:6.5%以上(ただし、空腹時血糖値126mg/dL以上や随時血糖値200mg/dL以上などの基準と併せて診断)
【健康診断で高値が出たら?】
HbA1cが6.0%以上の場合は、生活習慣の見直しと再検査、必要に応じて糖負荷試験を行います。6.5%以上の場合は糖尿病の可能性が高く、血糖検査や糖負荷試験を含む精密検査を受ける必要があります。当院では以下の流れで診療を行います。
- 問診と生活習慣の確認:食事内容、運動習慣、体重変化、家族歴など生活全般にわたりヒアリング
- 血液検査:血糖値、HbA1c、インスリン、Cペプチド、脂質、肝機能、腎機能、尿検査など
- 必要に応じて経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)や、糖尿病と診断された場合には合併症検査(眼底検査など)を行います。
- 診断と治療方針の説明:結果に基づき、必要な場合は薬物療法を開始し、生活習慣改善をサポートします。
【生活習慣でできる改善ポイント】
- 食事:糖質過多に注意し、野菜やたんぱく質を意識したバランスの良い食事を心がける
- 運動:ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲での継続的な運動
- 睡眠とストレス管理:質の高い睡眠と、過度なストレスを避ける生活リズムの確立
- 体重管理:適正体重(BMI22前後)を目指し、急激な体重増加を防ぐ
【当院でのサポート】
榊原サピアタワークリニックでは、患者様一人ひとりの生活スタイルや背景を考慮したオーダーメイドの治療計画により、管理栄養士との連携による食事指導、必要に応じた薬物療法の提案、定期的なモニタリングとフォローアップを行い、無理のない血糖コントロールの実現をサポートしています。
HbA1cは、糖尿病の診断や治療方針を決める上で非常に重要な指標です。健康診断で高値が出た際は、放置せず、まずは医療機関での精密検査を受けることが大切です。当院では、糖尿病の予防から治療、生活習慣のサポートまで一貫した診療体制を整えております。