① 糖尿病とは
膵臓で作られるインスリンというホルモンの分泌が低下したり、体内でのインスリンの働きが悪くなり、慢性的に血液中のブドウ糖値(血糖値)が高くなった状態が糖尿病です。血糖が高くなると、尿に糖が出てくるので、糖尿病といわれます。
インスリンは血糖の上昇に応じて膵臓から分泌されるホルモンで、身体のいろいろな組織の細胞の中にエネルギー源としてブドウ糖を取り込ませることで、結果的に血糖値を下げるように働きます。インスリンの作用が不足すると、細胞がブドウ糖を利用できず、血液中に利用されないブドウ糖がたまっていきます(高血糖)。
【糖尿病の症状】
ほとんど自覚症状がないことも多いですが、血糖値が非常に高い状態が続くと、次のような高血糖そのものによる症状が出現することがあります。
《高血糖による症状》
- のどの渇き
- 体がだるくなる
- 水をたくさん飲む
- 体重減少
- 尿の量(回数)が増える→脱水 など
高血糖を長期にわたり放置すると(5年以上)、糖尿病特有の合併症による症状が出現します。
《合併症による症状》
- 目のかすみ、視力低下
- むくみ
- 足のしびれ、足がつる
- ひどい便秘、下痢、胃もたれ など
また、高血糖下ではケガが治りにくくなったり、傷が化膿しやすくなったりします。そのため、手術を予定している方などでは、事前に血糖値のコントロールが必要です。
【糖尿病の診断】
血液検査で血糖値を調べて、下記のa〜dのいずれかに該当する場合、「糖尿病型」と判定します。ただし、a~cを別日に2回以上、もしくはa〜cのいずれかとdが確認された場合には、「糖尿病」と診断して治療を始めます。
- 早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上
- 75gブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dl以上
- 随時血糖値が200mg/dl以上
- HbA1c(NGSP値)が6.5%以上
「糖尿病型」であっても、確実な糖尿病網膜症や、口渇・多飲・多尿・体重減少などの典型的な症状がある場合や、過去のデータがある場合には糖尿病と診断できます。
【糖尿病の種類】
- 1型糖尿病
自己免疫の異常により、膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)が破壊されて起こると考えられています。治療には必ずインスリン注射が必要です。 - 2型糖尿病
日本人の糖尿病の90%以上がこのタイプです。糖尿病にかかりやすい体質(遺伝的因子)に、糖尿病を起こす何らかの誘因(環境因子:肥満、過食、運動不足、ストレス、加齢など)が加わって発症すると考えられています。治療の基本は環境因子の除去:主に食事療法と運動療法です。 - その他の特定の機序、疾患による糖尿病
原因となる遺伝子異常が明らかにされた糖尿病や、他の疾患(膵疾患、肝疾患、内分泌疾患など)、薬物(ステロイドなど)により起こってくる糖尿病などがあります。 - 妊娠糖尿病
妊娠中に発症したか、あるいは妊娠中に初めて発見された糖尿病を指します。